PTS(私設取引システム)について調べてみた
どーもまさちんです。
今回は夜も取引が出来てしまうPTSについて取り上げていきたいと思います。
夜間取引とは、証券取引所の立会時間外に取引所を介さずに株式を売買することです。現状、SBI証券、松井証券が利用可能で、楽天証券は2018年度中にて利用可能予定です。その他の主なネット証券も導入を検討中の模様です。PTSとは「Proprietary Trading System」(私設取引システム)の略です。
夜間もあれば、昼休みあたりの前場と後場の間、取引所の営業が始まる前の朝も対象です。
PTSの概要
夜間取引の舞台となるPTSナイトタイム・セッションとはどのような取引なのか、そもそもPTS取引とはどのような取引なのでしょうか。
東京証券取引所・・・前場:9時~11時30分 後場:12時30分~15時
ジャスダック ・・・ 前場:9時~11時30分 後場:12時30分~15時10分
上記は普通の市場の取引時間です。上記以外の時間は通常取引は不能です。
しかし、PTSの市場を使えば、売買立会前や昼休み、あるいは大引け後のような証券取引所の立会時間外でも、一般投資家が株式などを売買できます。
このコンピュータ・ネットワーク・システムは、1998年の証券取引法が改正され、取引所集中義務が撤廃されたことで実現したもので、証券会社が独自に運営しています。
現状、日本のPTSは以下の2つだけです。
チャイエックス・ジャパン運営のチャイエックスPTS
ジャパンネクストPTS
第1市場「J-Market」。
デイタイム・セッションの取引時間・・・8:20~16:00
ナイトタイム・セッションの取引時間・・・16:30~23:59
第2市場「X-Market」。
これはデイタイム・セッションのみの取引で、独自の単位で取引するJ-Marketとは異なり、取引所と同じ「呼び値」の刻みで取引します。のちに説明するSOR注文時の比較市場として存在していると思っています
チャイエックスPTS
Chi-AlphaとChi-Selectの2市場
投資家の参加者要件・呼び値・手数料率が異なります。
現在両市場とも、8:00~16:00のデイタイム・セッションのみ取引が行われています。
PTSの特徴
夜間取引を含むPTS取引の基本ルール
- 東京証券取引所上場銘柄のうち、SBIジャパンネクスト証券が指定する普通株式・ETF・REIT・インフラファンド等
- PTS基準値は、当日の東京証券取引所の最終値段(最終特別気配)
- 制限値幅も東京証券取引所と同じ
- 売買価格は、注文する指値が相手方の指値と一致する価格
- デイタイム・セッションの注文は、ナイトタイム・セッションに引き継がれることはない
- ナイトタイム・セッションの注文の有効期限は当日の23:59まで
メリット
①取引所より有利な値段で取引できる可能性
PTS取引は証券取引所に比べて呼び値が小さく設定されております。
呼び値とは、価格が変動する際の変動幅のことを指します。株価は必ずしも1円ずつ値段が付くわけではなく今現在いくらなのかによって、変動幅が5円となったり、10円になったりします。
株価が1,000円超~3,000円以下の銘柄の呼び値は、取引所では1円刻みと定められています。一方、PTSだと0.1円です。
株価が5,000円超~1万円以下だと、取引所の呼び値は10円刻みです。一方、PTSでは1円になっています。
例)
東京証券取引所で8,910円が最良買い気配、8,920円が最良売り気配である銘柄を100株売却する場合、10円刻みのため8,910円であれば売却できます。この時の売却金額は89万1,000円になります。
同日の夜間PTS取引で、同じ銘柄の板情報を見ると、PTSの最良買い気配が8,910円であっても、呼び値が1円刻みのため最良売り気配が8,916円となることもあります。この時の同銘柄100株の売却金額は89万1,600円であり、取引所に比べると600円高く売却できます。
②SOR注文(スマート・オーダー・ルーティング:最良の市場を選択して注文を執行する)
複数市場から最良の市場を選択して執行する形態の注文です。
SBIの場合を取り上げますが、
証券取引所(優先市場)と「ジャパンネクストPTS」の第1市場(J-Market)、および第2市場(X-Market)で提示されている気配価格等を監視し、原則、最良気配価格を提示する市場を判定して、自動的に注文を執行してくれます。
つまり、3市場の内一番有利な価格で執行してくれます。
個人的に、成行注文するなら、SOR注文した方が良いように思えました。
③PTS取引は手数料が取引所取引より安い
PTS開設以来夜間取引を継続しているSBI証券では、夜間取引を含むPTS取引手数料を取引所の取引手数料より安く設定しています。そのため、同じ銘柄を同じ株価で取引する場合、PTS取引を選べば投資効率は良くなります。
③企業の決算発表や海外の重要指標発表への迅速対応
その日の株式市場の総括や株式関連ニュースも大引け以降に発表されることが多く、翌営業日の始値に少なからぬ影響を及ぼします。
PTSの夜間取引ならば、発表後の夜間に約定させることが可能です。
損失を抑える点でも有利な点があります。
日本とアメリカ東部標準時の時差は14時間(夏時間では13時間)、日本とロンドンの時差は9時間(夏時間では8時間)あります。
海外の経済指標やニュースは、日本の証券取引所の立会時間外に発表されることになりますが、発表内容によっては日本の相場にネガティブな影響を及ぼして、翌日の始値が大暴落することがあります。そういった場合に、早急に暴落から抜け出すことが可能となります。
デメリット
①注文は指値だけ
指値だけというのは、顧客注文対当方式、通常の株式市場はいわゆる「ザラバ方式」という注文で、売り注文と買い注文の条件をすり合わせて約定させる方式です。
②出来高が少ない点
証券取引所に比べて出来高は少なく、指値だけという条件から、取引が成立しない可能性があります。
③値動きが大きくなるリスク
また、出来高が少ない為、大きな値動きが発生するリスクもあります。
④現物取引のみ
証券会社比較
SBI証券と松井証券、楽天証券の取引時間帯と手数料は以下の通りである。
SBI証券
夜間取引、PTSナイトタイム・セッションの時間帯……17:00~23:59
手数料……同じ株価の場合、当社スタンダードプラン取引所取引手数料に比べて、約5パーセント割安に設定されている。
銘柄数......約3,700
1注文の約定代金 / PTS手数料(税込)/ 取引所取引手数料(税込)
5万円まで / 50円 / 54円
10万円まで / 92円 / 97円
20万円まで / 108円 / 113円
50万円まで / 257円 / 270円
100万円まで / 498円 / 525円
150万円まで / 597円 / 628円
3,000万円まで / 946円 / 994円
1億円まで / 997円 / 1,050円
※上記手数料一覧は、SBI証券ホームページを参照。
松井証券
夜間取引/PTSナイトタイム・セッションの時間帯……17:30~23:59
手数料……取引所取引と夜間取引(PTS取引)の1日約定代金合計金額ごとに手数料「ボックスレート」が適用される
1日の約定代金合計金額 / 手数料
10万円まで / 無料
30万円まで / 300円/無料 ※
50万円まで / 500円
100万円まで / 1,000円
200万円まで / 2,000円
100万円増えるごとに1,000円加算
1億円超 / 10万円(上限)
※新規に信用取引口座を開設すると、開設後6ヵ月は1日の約定代金合計金額が30万円以下の場合、手数料は無料になる。
※上記手数料一覧は、松井証券ホームページを参照。
楽天証券
楽天証券は、夜間取引/PTS取引ナイトタイム・セッション(16:30~23:59)でのジャパンネクストPTSへの取り次ぎを2018年度中に開始すると発表している。
なお、楽天証券では、デイタイム・セッションにおいては、チャイエックスPTS(8:00~16:00)とジャパンネクストPTS(8:20~16:00)の両PTSに接続している。
おまけ
ダークプール
取引所外取引の一種です。名称は「dark pool of liquidity」で、日本語に訳すと「見えない流動性」という意味です。最近、存在感を増してきているそうです。名前がかっこいいすよね。
何が見えないのかというと、注文が見えません。取引所を通していないので、売買が成立するまで気配や注文数を公表する義務がないためです。
これは東証などの取引所を通さず、証券会社が投資家同士の注文を付け合わせる(マッチング)取引のことです。もともとは機関投資家向けのサービスでしたが、2018年4月にSBI証券が、5月に松井証券が先行して個人投資家向けにサービスをはじめ、少し遅れて8月27日にカブドットコム証券でもはじまりました。
ただ、SBIに関しては預かり資産残高1,000万円以上しか使えないというリッチ向けの条件がある為、調査は後ほどにしたいと思います。
いくつかデメリットがありますが、今後取引するときはPTSの市場も視野に入れつて置こうと思いました。
また、東京証券取引所の始値の参考として、夜間の動きを参考までに見るという活用方法もありかなと。
PTS以外にダークプールと呼ばれる、玄人向けの市場も出てきているようですが、使いそうに無いんで、そういうのがあるんだて感じにしときます。
とりあえず、また知識の整理がついたので良かったです笑
では。